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セッションレポート №1

ある日のセッションから その1

誰でも持っている回復する力

 

以前のセッションのことをご紹介します。

そのクライエントさんは、数週間前から夜眠れなくなってしまった、気力が無くなった、ということで、相談に来られました。

経緯を伺うと、1年弱前にある大病で休養し、その後に元通り復帰され、3か月程経った頃とのことでした。

 

当初、命に関わる状態だったのですが、良い医師やスタッフに恵まれ、ご本人の大変なリハビリの努力もあって、回復がめざましく、主治医も驚くほどだったようです。

 そして、発病から半年で日常生活に支障がなくなり、医師からもすぐに復帰を許されたそうです。

  

からだは元通りになって、検査しても問題ない。

復帰して嬉しいはずなのに、なぜ?

 

というのが、ご本人の率直な思いでした。

  

ここまでお話を伺って、体が治っていくスピードと、命に関わる危機を経験した心の回復のスピードが合っていないのでは、という印象を受けました。

また、病院では、ご本人がどんな気持ちでいるのか、こころの状態には、ほとんど触れられることがなかったようでした。

そこで、心理カウンセリングのセッションを定期的に行うことをご提案しました。

 

カウンセリングの過程で、ご本人はいろいろなことを聴かせてくださいました。

  

病気のために、たくさんのものを失ってしまったこと。

ご家族には、自分の辛さを、どうしても伝えられなかったこと。

ご家族は回復を喜んでくれたが、どこか、急かされるようにも感じたこと。

復帰したら、周囲から置いていかれてしまった、と感じたこと。

 

一つ一つ、ご本人と一緒に、お話を伺いながら、私も体験させていただくように、自分のなかでイメージしていきました。

  

特に、倒れた日のことを話すのは、ご本人にとって辛いことでもあったのですが、勇気を出して話してくださいました。

 

一人暮らしのご自宅で、急に倒れ、最後の力を振り絞り、救急車を呼んだこと。

救急車のサイレンが聞こえ、家の鍵を開けるため、這っていったこと。

意識が遠のいていくなか、家の床が近づいてきたこと。

 

私もその瞬間瞬間をはっきりと見たような気がしました。

 

こうして、こころのなかで起こったことを、ネガティブな思いも含めて、できる限り共有させていただきました。

 

なるべく、ご本人が、ご自分のなかの思いを、充分に感じ、味わっていただけるように、願いながら。

 

カウンセリングを開始して、3ヶ月ほど経った頃、ご本人の症状は軽くなっていきました。

 

こころのなかで、充分に感じられないままだった「何か」が、少しずつ整理されていくに従って。

 

それからしばらくして、よく眠れるようになり、今まで以上に気力が回復したため、カウンセリングを終結することになった日、ご本人はこう言ってくださいました。

 

「話してどうなるのか、と、思ったけど、心のケアって大事なんですね。病気でいろんなものを無くした、と思っていたけど、本当は何も無くしていなかった気がします。」


これだけでも、本当に嬉しいことです。

 

が、何よりも、誰もが持っている回復していく力の強さを実感できたことも、本当に嬉しく思いました。

 

もちろん、この方だけではなく、この回復する力は、あなたにもあります。

 

毎回毎回のセッションの度に、本当にクライエントさんには、感謝しています。

 

日々、学ばせていただくことばかりです。 

 

 

 

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