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髪とこころ

髪とこころ

髪の状態やヘアスタイルによって、気分が違いませんか?

 

その日の朝の髪の状態によって、その日一日の気分が違うという経験はありませんか?

ヘアスタイルが変わると、とても新鮮な気持ちになったり。

私も、バッサリ髪を切り、今までのことがリセットされたような気持ちになりました。

今まで試したことがない服を着てみたくなったり、行ったことがない場所に行ってみたり。

それもそのはず、髪はこころの状態と深く関わっているのです。

  

かつて、精神科にいた時にお会いした患者さんのことを思い出しました。

 

その方は、70代後半の女性で、鮮やかな色の服を着こなし、とてもおしゃれで、洗練された雰囲気でした。ご家族に付き添われて来院されたのですが、ご家族によると、目を離した隙に、ご自分で髪の毛を抜いてしまうのだそうです。

それが段々とひどくなり、時には、両手で髪を掴んで引っ張っているとのこと。ご本人はあまり抜いているという自覚がないようでした。

 

この方は、おそらく「抜毛症」と思われます。

心理臨床大辞典(培風館)によると、抜毛症とは、頭髪など身体の毛を、自分の手でほとんど無自覚に引き抜く症状のことです。

小学生~思春期の女子に多く、ストレスや不安が原因とする説が一般的なようですが、他のこころの症状と同様、はっきりした原因は不明です。

この方の場合、日常生活での認知機能の低下が目立つようになり、物忘れをしたり、約束の日時を間違えてしまったり、といったことが度々起きるようになってしまったとのことでした。



お話を伺う過程で、年齢を重ねて、体も弱くなり、今まで当たり前にやっていたことができなくなってしまう、という喪失感のようなものが伝わってきました。

記憶が曖昧になってしまい、自分が「今までの自分」でなくなってしまうような。

そんな思いを、はっきり意識されないまま、髪を抜いてしまうという行動で表現されていたように感じました。

言葉で表せないこころの状態や思いが、髪の状態として表れていたケースだと思います。

 

もうひとつ、思い出したことがあります。

私が高校生の頃、ある女性ジャーナリストの本で読んだエピソードです。

あるアメリカ人のキャリア女性のお話なのですが、彼女は、毎朝目が覚めると、ベッドのなかで、「自分は今幸せ?」

と自問するのだそうです。

その答えが「ノー」だった時には、仕事を変えるか、パートナーを代えるか、ヘアスタイルを変えるのだそうです。

「そんなに簡単に変えるものなの?」と当時の私は驚きましたが、とても印象に残りました。

女性が、自分で、自分にとって不幸な状況を変えていく、そんな力強さを持っているということ、が心に残りました。

 

なかなか、日本の私たちの状況では難しいこともあります。

が、この女性のように、「自分は幸せなのか」も含めて、今の自分の状態を自分で把握することは大切なことだと思いますし、やはり、ここぞ、という時には、「自分で自分を幸せにする」ために行動することも、やはり大切なことではないでしょうか。

 

仕事やパートナーまで変えるのは難しいけれど、ヘアスタイルなら大丈夫ですよね。

または、より幸せな自分でいられるように、何かちょっとしたことを始めるとか。

明らかに負担になっていることを見直してみるとか。

今できることから始めてみませんか?

 

 

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