· 

「変わりたい」と「変わりたくない」

「変わりたい」と「変わりたくない」

「変わりたい」のに「変わりたくない」ということについて。

前回のブログでも、臨床動作法の研修会でのことをご紹介しましたが、今回も、もう一つ、印象に残ったことがありましたので、お伝えしたいと思います。

 

それは、「変わりたい」という気持ちと、「変わりたくない」気持ちについて。

 

臨床動作法で「肩上げ」という動作があります。

簡単に言うと、腕をだらん、と下げた状態から、肩の肩甲骨部分を、余分な力を入れずに、真っ直ぐに上げていくという動作です。

今回の研修会でも実習しました。

上手に出来ると、肩の緊張がほぐれて、肩こりが軽くなり、とても楽になります。

上手にやるコツは、とにかく無駄な肩の緊張を抜くことです。

セラピストに、肩甲骨辺りをサポートしてもらいながら、自分も、なるべく最小限の力で肩を上げていきます。

私の場合、途中までは割と順調なのですが、その後は、首の付け根部分に緊張が入ってしまい、なかなか弛められませんでした。

弛めれば楽になるのが分かっているし、楽になりたいのに、なぜできないんだろう?

・・・そう、緊張を手放すのが、やっぱり不安なのです。

 

この臨床動作法の創始者の成瀬先生が指摘されているのですが、自分にとって慣れ親しんだ緊張感を弛めるのに、不安や恐怖を感じることは、多々あることなのです。

 

からだの緊張感、肩こりや腰痛など、慢性的な不調や痛みは、当然本人にとって不快なものなのですが、慢性的になっていればなっているほど、当たり前となってしまっているのです。痛いけれど痛いなりに、不快だけれど不快なりに、本人にとっては安定している状態なのです。

 

自分にとって、不快だけれど、いつものことで慣れていて、安定した状態にある。

 

そうなると、自分が楽になることが分かっていても、いざ、不快を手放すチャンスがあっても、なかなかそうはできないのです。本能的に、人は慣れて安定した状態を求める生物です。そのため、自分にとって痛みの無い楽な状態、つまり今までと違う未知の新しい状態になることが怖いのです。

楽だろうけど、今まで経験したことがなくて分からない状態が不安なのです。

「痛みから解放されて楽になりたい」という気持ちと「痛いけれど、よく知っている今の状態のままでいたい」という気持ちがある。


単純に考えると、そんなの矛盾してる!って思いますが、本当にそうなのです。

 

人は、いつも一つだけの感情しか持たないことなどあり得ません。

そんなに単純な存在ではありません。

変化したい、でも、今のままでいたい。

 

一歩進んで、頭では変わりたい、と思っていても、無意識の行動が変わらない、そうしたこともよく見られます。

例えば、ダイエットをしよう、ジョギングを始めようと、禁煙してやる!

など、確固たる決意をもとに、行動を開始します。

こうした行動はすべて、今ある自分を変化させようとしていることです。

 

ところが、ふと気が付くと、冷蔵庫のアイスクリームを探していたり、つい寝坊して走る時間が無くなったり、ついでにタバコを買ってしまったり。

「やるって決めたのに・・・」とガッカリ。

 

どんなに小さな行動であっても、自分を変えようとすることは、とても大変なことです。

より良い自分になりたい、と願うからこそ、真剣に考えて行動します。

ところが、その一方で、心の深い部分、つまり無意識では、変わりたくない、変化が怖い、と思い、つい考えていたことと違う行動をとってしまうのです。

 

ですので、楽になろう、自分を変えよう、と思って何かやってみても、うまくいかない。だからといって、ご自分を責めないでください。

長い間慣れてしまった状態から、新しいより良い状態に慣れるまで、どうしても少し時間がかかります。

あまり頑張らず、でも諦めず。

どんなに小さくても、変化は変化です。

 

<前のブログ      次のブログ>