雑記帳

「頭が真っ白」になる症状を克服した話

わたしは、人前で急に頭が真っ白になって、完全にフリーズしてしまう症状を何度も経験したことがあります。
社会不安障害といった、ちゃんとした診断名が付くほどのものではありませんでしたが。

また、カウンセラーとして、いろいろな方にお会いするなかで、実際に同じような症状に困っている方が意外と多いことに気付きました。

この記事では、「頭真っ白症状」について、わたしの経験を中心にお話します。
症状に気付いたキッカケや、改善のために行ったこと、そして回復したと確信するまでに至る経緯など。
かつてのわたしのように、今こんな症状に悩んでいるあなたの参考にしていただければ嬉しいです。

ある面談中、突然頭が真っ白に!

今から13年ほど前の、ある秋の日。
当時はハローワークで専門相談員として働いていました。

その日は40代男性の利用者の方と初めての面談。
ところが彼は席に座るなり、
「今までとは違う業界・職種で就職したい。だから自分に合った業界・職種を教えろ」と言うんです。

どうにも理不尽な要求です。
職務経歴書をろくに見せてくれない。
今までの経験を教えて欲しいと言っても、話してくれない。

それなのに、自分に合った仕事をすぐに紹介しろ、と言うのです。

初対面の相手に詳しいことを話したくない気持ちも分かりますし、焦る気持ちも分かります。
でもわたしは魔法使いではありませんから、その方のバックグラウンドも分からないまま、適したものなんて、分かるはずもないんです。

なので、今までの経緯なんかについて、とりあえず情報を得ようとお話を伺っていますと、だんだんイライラしてきたのか、彼は「何でできないんだ!」とクレームをつけ始め、わたしの言葉も聞かず、「どうすればいいんだ?」とか強い口調になってきました。

すると・・・

急に何も考えられなくなってしまったんです。
頭が真っ白。
それに面談ブースに座っている自分が、どこか別の場所にいるような感じがして、現実感がない。
確かに相手の顔は見えるし、声も聞こえているのに、どこか、遠くから見ているような感じ。

相手は「時間を割いて来ているんだ」「何とかしろ」と執拗に責め続けている。
けれどもわたしは何もできません。
全く頭が働かないんですから。

なので「お力になれず申し訳ありません。」とひたすら繰り返すことしかできませんでした。
最終的に、その方が諦めてくれるまで。

「頭が真っ白状態」に気付いて

その後しばらくの間、本当に悩みました。
その人が怖かったというより、自分の頭が真っ白になってしまったことが、どうにも気になったのです。

冷静に考えてみると、わたしにだけ非があったのではないことは明らかです。
専門相談員として、できる限りのことはしました。

キャリアコンサルタントとして専門的なトレーニングを受けていたとはいえ、
相談者の今までのキャリア、背景、その人の特性(面談をしながら見えてくる事が多いんです)が分からないまま、その人に合った仕事をアドバイスするなんてことは、どう考えても無理です。

なので、きちんと相手に説明すればよかったんです。
「あなたのことを知らなければ、適した仕事なんて分かりませんから」と。

それに相談者さんにとっても、「申し訳ありません」とただ謝られるよりも、その後の展開によっては、余程メリットがあったはずなのに、です。

それなのに、なぜ急に何も考えられなくなってしまったんだろう?

自分のことなのに、自分でも分からなくて。

だんだん不安になって・・・

こういう理不尽な相談を受けるのは、ハローワークのような現場では避けられないことですし、ましてやカウンセラーとしてやっていくうえでは、冷静に対処していかなければならないのは当然のこと。

この先、本当にこの仕事を続けていけるんだろうか?
カウンセラーとしての第一歩として、ハローワークで働き始めたのに、また、ここで辞めることになるんだろうか?

そんな不安が生まれてきました。

それに、また、いつ、仕事中に「頭が真っ白状態」になってしまうのか、それも不安でした。
なので、日々他の相談者と面談する時にも、なんとなく不安を感じるようになってしまいました。

そもそも、わたし、このままで大丈夫なんだろうか?

ぐるぐる、グルグル、考え続けました。

過去にも同じような経験があったことを思い出して

でも、そのなかで、「この状態は初めてじゃない」そういう感じがありました。
そういえば過去にも同じような経験があったことを思い出したんです。

例えば、小学校高学年の時、社会の授業で、地図の記号が何を意味しているのかを答えるという場面でした。
順番に指名されることも分かっていたし、答えも分かっていたのに、いざ指名されて、みんなの前で答える番になった途端、急にフリーズしてしまったんです。

空っぽの自分がそこにいる、みたいな。
分かっているはずの答えを、たった一言口に出せばいい、ということも分かっているのに、なぜか身体が動かない。
自分なのに、自分じゃないみたい。

中学校の数学の時間でもそうでした。
指名されて黒板に解答を書くことになっていたんですが、いざ、黒板の前に出たら何を書いているのか、分からなくなってしまって、時間がどんどん過ぎていく。

高校、大学、はては英会話教室でも、度々そんな経験に見舞われたことを思い出しました。

カウンセリングを受けることに

やっぱり、これには、「何か」がある。
ちゃんと向き合うべきものがある、と直感しました。

そこで、再びカウンセリングを受けようと決めたのです。

わたしは、自分が養成講座を受講していた産業カウンセラー協会に付属している相談室に行ってみることにしました。

担当のカウンセラーは50代位の女性でした。

わたし達は前述の出来事について、そして、この先仕事を続けていけるかどうか不安に思っていることについて話し合いました。

カウンセラーからのアドバイス

そのなかで、カウンセラーは、いくつかアドバイスをしてくれました。
頭が真っ白になる状態にまでならないように、一歩手前で「ヤバい」と思ったら、とにかく一旦席を外して、トイレなどで落ち着くように。
こういうケースの場合は、職務経歴書を一緒に作るかのような聴き方をするように。
とか。

確かにそれは役に立つアドバイスではありました。
面談の途中で席を立つことが、現実にはとても難しかったけれど・・・

子供の頃の経験を思い出す

ただ、カウンセリングの回数を重ねて、自分なりにいろいろ考えるうちに、わたしのなかで見えてきたことがありました。

4歳位の頃、近所の友達と一緒に遊びに連れて行って欲しいと頼んだら、父親に怒鳴られ、肩のあたりを突き飛ばされて、庭の植え込みの上に仰向けに引っくり返ったことがありました。
それを見た友達は一目散に逃げ出していきました。

その後、自分で何をしているのか分からなくなって、どういうわけか、靴下のままで、庭の地面にずっと立ち尽くしていたんです。
父の機嫌が直るまで。

その時の感覚と全く同じ状態になっていることに気付いたのです。

そして、怒鳴るような声や、お皿がぶつかるような音が苦手で、必要以上に過敏に反応してしまうらしいことも分かってきました。

カウンセリングへの違和感、そして終了

わたしは、その自分が気づいたことをカウンセラーに伝えてみました。
最初のキッカケとなったらしい父とのことも。
そこに向き合うことをしていきたかったから。

でも、なぜか、彼女は、あまりそこに触れてはくれませんでした。

そこで、お皿がぶつかるような音が苦手だということも話してみたのです。
「頭が真っ白」状態と何か関連があるかもしれない、と思ったので、と。

すると、カウンセラーはまたアドバイスをくれました。
大きい音が苦手だったら、「ガチャン!」と音がした時に、「嫌な音!気をつけようね」と言葉でちゃんと表現すべきだというのです。

わたしは彼女の言葉にすごく違和感を覚えました。

わたしが本当に相談したいのはそこじゃない!

確かに言語化することも、自分の気持ちを整理するために役に立ちます。
しかしこの場でわたしが必要としていたのは、こういう表面的なアドバイスではありませんでした。
「解決する・しない」ではなくて、まずは父とのことに向き合う作業がしてみたかったのです。

さらにカウンセラーは、(彼女はキャリア領域が専門だったこともあって)今後はこれからの仕事のことについて、考えてみてはどうか、と提案してくれました。
それでもわたしは、仕事のことより、父とのことを考えたい気持ちが強くなっていたのです。

10回以上カウンセリングを続けていたのに、いつの間にか、カウンセラーとわたしが向いている方向が大分違ってきた感じがしました。
カウンセリングに通うのに仕事終わりに片道1時間かかるのことも負担になり、ここでカウンセリングを終了することにしました。

その後も考え続けて

残念ながらカウンセリングは止めてしまいましたが、その後もわたしは考え続けていました。
このカウンセリングのなかだけでは、わたしの症状を改善することはできませんでしたが、「話し合う」経験は、問題に向き合うために役に立ったと思います。

また、カウンセリングとは違うセラピーはどうかと思って、イメージ療法みたいなセラピーも一度受けてみましたが、こちらは効果を感じられなかったばかりか、ちょっと混乱するようなことを言われて、かえって受けたことを後悔するはめになってしまいました。

その間ずっと心理カウンセラーとしてトレーニングを続けていましたので、その学びが自分の回復のためにもプラスになったことも事実です。

そしてもうひとつ。
あれこれ考え続けて、父とのこと以外に、母との間にも、「頭が真っ白」状態につながる出来事があったことも思い出すことになりました。

もうひとつのキッカケ

それは、誰かに尋問?されると「頭が真っ白」状態になってしまうキッカケになったであろう出来事です。

小学3年生位の時。
どういう出来事が発端だったかは思い出せないのですが、母にずっと問い詰められていたことがありました。

「なんでこんなことをしたの?」と。
自分でも理由が分からないので、「分からない」と答えると、母は「知らない、という答えはあるけど、分からない、という答えはない!」と言い切りました。
「なんでやったの?」「どうして?」と何度も何度も質問を繰り返しました。

心臓がドキドキしてきて、口から言葉が出ない代わりに、心臓が飛び出そうな感じがしました。
わたしがどうにもできなくて、ついに泣き出しても、母親の尋問は続きました。

この時も、やっぱり「あの」状態だったんです。

頭のなかの10%位では「何か言わなくちゃ」「どうしよう」と考えていて、確かに動いてはいるんですが、残りの90%は真っ白。

自分がどこかに行ってしまったよう。

言葉も浮かんでこないし、口を開くこともできない。ただ茫然と立ち尽くしているだけ。

同じ経験が繰り返されていた

わたしの症状は、PTSDの症状でよく見られるフラッシュバックというほどのものではありません。
しかし、後々の生活で、当時と似たような状況になると、まるで突然4歳の頃の自分に戻ったみたいに、全く同じような身体の感覚や感情を何度も再体験したことは事実です。

わたしは4歳児でもないし、相手はわたしの両親ではない。
当時と状況は全く違うのに、どういうわけか、自動的に過去と同じ体験をしてしまう。

また、頭が真っ白になる状態も、「解離」とまで名付けることはできませんが、自分の考えや感情がなくなって「自分がここにいない」感覚が明らかにありました。

それで日常生活に大きな支障が出るほどではありませんでしたが、「頭が真っ白」現象に度々襲われて、その度に心理的に落ち込んで、立ち直るまで鬱々とする・・・ということを繰り返してきたことが自分のなかで分かってきました。

「頭が真っ白」からの回復

前述したように、わたしの場合、「〇〇療法が効いた」というものはありませんでしたが、自分の状態を客観的に見つめること。
そして今現在の自分に何が起こっているのか、冷静に知ろうという態度が身についたこと。それが、わたしにとって、症状から立ち直る鍵になりました。

なぜなら、過去の出来事を再体験してしまう状態というのは、自分のなかで、過去と現在の時間軸が混乱しているということです。

ふと、4歳児に戻ろうとする感情と、その感情とセットになった身体の感覚に引き摺られないようにするために大切なのは、
今現在の自分が置かれている状況を正確に認知すること。
そして、今現在の自分の感覚に意識が向かっていることです。

つまり、過去の出来事と、今現在の出来事をちゃんと区別して体験できる、ということです。

ヨガに助けられて

でも、このことは、なかなか頭で考えて分かるというものでもなくて、やっぱり身体で体得していく方が早道かな、とわたしは思います。
(単にわたしが頭だけで考えるのが苦手で、もともと感覚的に生きている人間だからかもしれませんが。)

自分の身体を使って、少しずつ、ヨガを練習していくなかで、わたしは、「今、ここ」というのがどういうものか、その感覚が徐々につかめるようになりました。

もともとヨガはすでに始めていて、症状改善のためにやっていたわけではないのですが、実際に、思いもよらず、ヨガには大いに助けられました。

ヨガを練習していて体験できることは、今、ここの自分にしか体験できないことなんです。
4歳のわたしではなく、今のわたしが体験していること。

そういう「今、ここ」の感覚だけに意識を向けていく練習が、まさにヨガの練習なんです。

頭が真っ白になっていた当時のわたしはもう、「今、ここ」には存在しない。
今のわたしは、少なくとも当時のわたしよりは、いろいろな経験を積み、多少は知恵もついています。
そのわたしに、今、何が起こっているのか?
わたしは今、何を体験しているのか?

そんなふうに、客観的に自分の内面に意識を向けていくことが出来るようになってきました。

「真っ白」だった時の本当の感情

過去にあったことを思い出しては、改めて見つめ直してみる、という作業を続けていて、「真っ白」になってしまった場面で、当時のわたしが本当は感じていたであろう様々な感情が蘇ってくることがありました。

両親には怒りやら失望やら、逆に「子供に対してなんであんなことをしたの?」と尋問したい気持ちが生まれてきたり。

自分が恥ずかしい気持ちになったり、我ながら情けなくなったり。

父に突き飛ばされた時に逃げ出した友達にも、わたしを見捨てたことに対して怒りを感じたりしました。

感情がいろいろ湧いてきて、圧倒されそうな時もありました。

それでも、ひとつひとつ向き合っては手放し、また向き合っては手放し、続けていくうちに、自分がもっと感情を持っても良かったし、自分だけが非難されるものでもないことに気づくことができて、自分のことをもっと認めてもいいんだ、という思いが湧いてきました。

わたしを取り巻く状況も変化して

そして、わたしが父とのことをいろいろ考えるようになった頃から、父は体調を崩し始めたんです。
最初は前立腺肥大と言われていたのですが、後に前立腺癌であることが判明しました。

上昇傾向が強くて、アグレッシブな印象だった父でしたが、徐々にエネルギーが弱っていくのが雰囲気から伝わってきました。

わたしは、そんな父のことを気の毒だとか、可哀想だとか思う気持ちよりも、「無常」というか、父の変化に驚く気持ちの方が強かったのが正直なところです。

「猛き者も遂には滅びぬ」って本当なんだ。
自称鉄人、あんなに強いと思っていた父でも、やっぱり弱っていく。
全ては変わっていくものなんだ。
みたいな。

そんな気持ちも、「頭が真っ白」症状からの回復に役立ったのではないか、と思います。
変わらないと思っていたものが、目の前でどんどん変化していくのですから、自分だってやっぱり変わっていくんじゃないか。
そんなふうに思えたんです。

「頭が真っ白」症状が消えた!

「頭が真っ白」状態に向き合おうとした日から、2年ほど経ったある日のこと。

やはりハローワークでの仕事中。
年配の男性利用者の方と面談していたら、急に彼が大声を出しました。

ところがわたしは、頭が真っ白になる事もなく、単に彼が勘違いしていたことが原因だと気付くことができました。

さらに、「そのお話はどちらで聞かれましたか?
こちらの書類にある通り、説明会の日に担当者が説明しているはずですよ。」
と言い返すことまでできたのです。

すると彼も自分の間違いに気づいたのか、それ以上は何も言わずに「分かったよ」と、さっさと席を立っていったのです。

自分でも、「あれ?」という感じでした。
あ、なんか、出来た?
みたいな。

多分、以前のわたしだったら、きっと何も言えなくなってしまって、また「すみません」を連発していただろうと思います。

それからさらに10年が過ぎようとしていますが、今のところ、「頭が真っ白」症状は再発していません。

今後またあるのかな?とも思いますが、今、こうして、書き表すことができたということは、自分のなかでケリが付いたということだと思います。

少々時間はかかりましたが、わたしにとって、この症状と向き合うことで、自分のことをもっとよく知り、自分自身を癒やすことにもつながりました。
わたしなりに、もっとも自分に合った回復のプロセスだったと、今では思えます。

ABOUT ME
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Chisako
臨床心理士・公認心理師・ヨガインストラクター。元社労士。 こころとからだのことで悩んでいるあなたに、わたしの今までの学びがお役に立つと嬉しいです。 根が不器用な自分を認めて、ただシンプルに生きるのが信条。
カウンセリングがうまくいかなかったあなたに。

あなたはご存知でしょうか?

不安、うつ、トラウマ、過緊張など、こころの症状を、身体を整えながら、身体の側から改善していくことができるということを。

「心の問題には対話によるカウンセリング」というのが一般的な常識ですし、
わたし自身、臨床心理士として、カウンセリングの効果も確かにあると認めています。

けれども、カウンセリングでは、うまく話すことができないと、なかなか先に進めない、ということも事実です。

いくら相手がカウンセラーだったとしても、そんなにすぐに打ち解けて、自分のありのままを話すことなんて難しいですよね。
信頼できるかどうかも分からないし、不安ですよね?

カウンセラーと信頼できる関係を築くまでには、本当に長い時間がかかります。
そのため、カウンセリングで変化を感じる前に、続けられなくなってしまう場合が多いのです。

「カウンセリングがうまくいかない」と困っている方がきっとたくさんいらっしゃるはず。本当はそういう方こそ、心のケアが必要なのに。

そこで、「無理に誰かに話さなくても、心の問題を解決していける方法があればいいな」と、わたしはずっと探していました。

そこで、たどり着いたのが、身体を整え、身体の感覚に向き合うことで、心を整え、心の問題を解決していこうとする方法でのカウンセリングだったのです。

これから自分らしく生きるために、こころ、からだをケアしたい。
でも、カウンセリングでは難しい。

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