雑記帳

親との関係を見つめ直すということ

わたしは心理カウンセラー、ヨガセラピストとして、以前のわたしと同じように、過去の親子関係に苦しむ方とお会いする機会が多いです。

心理カウンセリングの場合は、直接ご両親との関係のいきさつを伺うこともありますが、
ほとんどの場合、クライアントさんご本人は何も触れないけれども、
「自信がない」「不安」「うつ」という表に見えている症状の背景に、
親との関係での問題が透けて見えるのです。
(クライアントさんご本人が意識していない、気付いていない場合も多いのですが。)

つくづく思うのは、親との関係の問題には、年齢は関係ないこと。
いくつになっても、何十年前の過去のことかもしれないけれど、
「どこか重いものを、おひとりでずっと抱えてきたんだろうな」
そんなふうに感じられる方が珍しくないのです。

ここでは、親との関係をもう一度見つめ直して、再構築していきたいと考えているあなたに、わたしの経験を踏まえて、知っておくと役に立つことをお伝えします。

毒親というほどではないけれど、親との関係で、ずっとモヤモヤしているというあなたに、ぜひ読んでみていただきたいです。

親を責めても何も解決しないということ

最初から、少々耳が痛いことかもしれませんが、
親を責めても何も解決しない
ということを、知っておいてください。

「毒親」という言葉が広まっているように、「親のせいで」とか、「親がもっとちゃんとしてくれたら」とか、親を責めたくなる気持ちも分かります。
わたしも、内心ではさんざん親を責めましたから。

改めて親にされたことを思い返してみて、「あの時、なんでお母さんはこんなことをしたの?」とか、問いただしたくなることもあります。

わたしも、実際にそうでした。
自分の生き辛さを改善するために、カウンセリングを受けていて、自分のなかに閉じ込められていた怒りがわーっと出てきた時期がありました。

ヨガの練習をしていても、そうなんです。
身体を丁寧に動かしていくと、それまで意識が届かなくて、動きづらかった関節や小さな筋肉の緊張がほどけていきます。
その時に、ふわっと、いろいろな感情がよみがえってくることがあるのです。
ポジティブなものも、ネガティブなものもありますが。

当時は閉じ込めるしかなかった感情が、あらためて自分のものとして、意識に上がってくるんですね。
(わたしにとっては、こんなふうに、ヨガをやることが、自分の本来の感情を取り戻すために、とても役に立ちました。)

言った側は忘れていて、言われた側はずっと覚えている

わたし自身の経験を少しお話します。

3年位前のことです。
たまたま母とテレビを見る機会があり、「最後のダイエット特集!ビフォーアフター」みたいな番組をやっていました。

すると母がふと、「あんたも随分痩せたわよね。ダイエットしなくても、そこまで痩せられればいいわよね~」と、言い出しました。

わたしは内心、「この人、何言ってんの?」と思いました。
(20代始め頃は、かなり太めの体形になっていて、健康診断の時にも、減量するように言われたこともあったのです。)

わたし(ムッとしながら)「ダイエットしたに決まってるじゃない。じゃなければ痩せないわよ。」
母「え?あんたもダイエットしてたの?いつ?知らなかったわ~」

母は、こういうところは全く無関心なんです。
わたしの友人関係や趣味にはしつこく監視するくせに、勉強とか、資格試験とか、ダイエットもそうですが、わたしが努力してやっていることには、まるで関心がないのです。

母は、わたしの努力を認めない人。
わたしが大した努力もせずにやってきた、と信じて疑わないようです。
それはさておき。

かつてのわたしだったら、「ムッとした」自分の思いを封じ込めていたに違いありません。
でも、この時には「一度は言わなくては」という気持ちが芽生えていたので、
「今がチャンスかも」と思い切って母に伝えてみました。

当時太っていることをバカにされて悔しかったことを。
「デブデブ、デブデブ太ってさあ、少しは痩せりゃあいいのに」
かつての母の言葉が、はっきりと耳に残っていたのです。

「デブだってみんなにバカにされてたけど、本当は、お母さんが一番バカにしてたよね?」と突っ込んでみました。

母「え?そうだったかしら?覚えてないわ~ごめんなさいね~」

全く罪の意識なし。
そんなものですよね。

いざ、親と対決しても…

パワハラ、セクハラ、いじめ、嫌がらせ…etc.
言った方、やった方は、相手をどれだけ傷付けるか、全く気にしないまま、すぐに忘れてしまいます。
一方、言われた方、やられた方は、悔しさ、怒り、悲しみ、苦しみ、恥ずかしさ、自責、傷付いた痛み、など、いろいろな辛い気持ちと一緒にいつまでも覚えているものです。

わたしのところに来られるクライアントさん達も、同じような経験をされている方が多くいらっしゃいます。
セラピーが進むにつれて、こころに閉じ込められていた、こうした思いに気付くようになるのです。

そして、自分の力を取り戻す過程で、
あの時、自分がどう感じたのか、相手に伝えたい。
相手がどういう気持ちでやったのか知りたい。
事実は消えないけれど、一言謝って欲しい。

そういう気持ちが芽生えてきます。

わたしと同じように、相手と対決しようと考えている方や、実際に対決した方もいらっしゃいます。

結果は…
「感動の和解」というテレビドラマのようになることを期待しないでください。

実際には、わたしのケースのように、相手は覚えていないか、
あるクライアントさんのケースでは、謝ってくれるどころか、「面倒くさい」の一言だったり。
なかには、親が謝ってくれた、という方もいらっしゃいますが、親が本心からそうしたかは、微妙なところ、といった感触でした。

誰かを責めなくても、心の傷は癒すことができる

親に甘えたかった。
話を聴いて欲しかった。
分かって欲しかった。

そんな満たされなかったものを、今も無意識的に求めてしまうことがありますよね。

わたし自身もそうです。

でも、ヨガセラピスト、心理カウンセラーとしてクライエントさんとお会いしていて、
そして、自分でも実際に体験して確認できたことは、

こころの傷や生き辛さ、心身の不調は、誰かに責任を負わせなくても、ちゃんと回復していくものだということです。

もちろん、自分のなかに、まだまだ未消化の怒りや悲しみなどがあって、ふとした瞬間によみがえってくることがあります。
ただ今では、ネガティブなままの気持ち、それも含めて、正直な自分の気持ちを認めることができるようになって、自分として生きることが楽になりました。

時間はかかりましたが、試行錯誤しながらやった成果はあったと思っています。

そして傷付けられた事実は消えないですが、その辛さは、自分を素直に認めることができるようになって、少しずつ、和らいできています。

親がわたしに対して良いこともたくさんしてくれたのも事実ですから、良い・悪いと単純に評価しないで、矛盾する存在として、親を、そして自分を受け入れることができるようになってきました。

他ならぬわたし自身も、やっぱり矛盾したところがありますからね。

やっと、母との関係は、以前より緊張感のない「自然なもの」になりつつあります。

「親のせいでこうなった」というのは呪いのようなもの

小さい頃の親、特に母親との関係に情緒的な問題があった場合、成人してからも、心理的な問題を抱えたり、生き辛さを感じたりすることがあるということは、心理学的にも認められていることではあります。

わたし達は、小さい頃の親との関係を基本にして、その後の人間関係を築いていくためです。
親子関係があなたの人生において、大きな影響を与えていることは事実です。

しかし、だからといって、あなたの生き辛さ全てを「親のせい」として片づけてしまってもいいのでしょうか?

幼少期の親との関係で生じた問題は、成人してからの経験で修正できるということも、心理学的にも明らかなのです。

「親のせい」にすると、自分と向き合う必要がなくなるため、ある意味楽です。
けれども、そうしていると、呪いのように、あなたはいつまでも「親のせい」から自由になれません。

なぜなら、「親のせいで、わたしはこうなった」と、親の責任にしてしまうということは、
裏を返せば、
「わたしの幸せは、親に支配されている」
「わたしの幸せは、親次第」
ということになってしまいます。

親という、自分以外の、外側の状況に、自分の幸せを明け渡していて、
「自分自身の力では、自分の幸せを作り出すことが出来ない」
という、とても受け身の立場に、自分を置いてしまうことになります。

確かに、わたし達は、赤ちゃんの頃は、完全に親に依存しています。

ところが、大人になった今のあなたは?
親という、外部の状況に、自分の幸せを依存している必要があるでしょうか?
あなたには、自分自身を癒し、これからのあなた自身を幸せにしていく、自分なりの力があるのではないでしょうか?

あなたには、自分の人生を自分で生きる自由があるはずです。
このことに、どうか気付いて頂きたいと思います。

親との関係を改善するための力が、あなたにもあります

あなたが、あなたがかつて受けた傷を癒し、かつての親との関係を見直して、あなた自身を取り戻していくことで、親との関係を変化させることができます。

こうした自分の幸せを自分で作る力に気付くことが出来ないと、いつまでも、親を責めることになってしまいます。
当然、いつも責めたり、責められるばかりでは、お互いの関係は悪化する一方。

親子関係も、生きている人間同士の関係ですから、当然、変化していきます。
変えることだってできます。

ただ、親自身を変えることはできません。
他人ですからね。
しかし、わたし達は、自分を変えることはできます。
人間関係は、どちらか一方が変われば、他方も変わっていくものです。

親との関係に悩む、ということは、こころのどこかに、
「親との関係を見直したい」
「より良い関係として再構築していきたい」
という気持ちがやはりあるのではないですか?

親は親として、自分は自分として、
お互いに幸せになれることを、
あなたはどこかで望んでいるのではないですか?

親を責める気持ちから解放されると、何よりも、あなた自身が自由になれます。

「親のせい」にするばかりではなく、あなたは、これから自分で自分を幸せにするために、自分と向き合い、本来の自分を取り戻していくことができます。
心の傷や生き辛さは自分で癒すことだってできるんです。

あなたのなかにある、その力を信じてください。
あなたも必ず変われます。

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Chisako
臨床心理士・公認心理師・ヨガインストラクター。元社労士。 こころとからだのことで悩んでいるあなたに、わたしの今までの学びがお役に立つと嬉しいです。 根が不器用な自分を認めて、ただシンプルに生きるのが信条。