心の整え方

人間関係に疲れてしまったときに。

こちらをお読みになっているということは、人間関係に疲れてしまうほど悩まれているかと思います。

この世に生きている限り、わたし達は何らかの人間関係を持たないと生きていけません。

けれども、相手との関係が1回限りのちょっとしたものであったり、離れてしまえば済む関係であれば、それほど悩む必要はないはずです。

そこまで悩まれているということは、切っても切れない関係のなかで、何よりもあなたが相手との良い関係を望んでいるということの裏返し、とも言えます。

この記事では、「人間関係がうまくいく方法」というような、スキル的なものではなくて、もう少し人間の心の深い部分から、あなたが楽になれるような人間関係の在り方について、お伝えしていきたいと思います。

一対一の人間関係について

家族でも親友でも、特定の相手との人間関係に悩んでいる方に、まず知っておいていただきたいことがあります。

それは、

純粋な一対一の人間関係というものは、実は存在しない。

ということです。

え?どういうこと?

あなたと、あなたの彼氏との関係を例にしてみますと、こういうことなんです。

  1. 現実の彼氏
  2. あなたのなかにある、あなたのイメージとしての彼氏
  3. 現実のあなた
  4. 彼氏のなかにある、彼氏のイメージとしてのあなた

基本的に、わたし達は、こんなふうに、人間関係を営んでいるわけなんです。
現実の相手と、自分のイメージ上の相手と、二人と同時に付き合っているようなもの。
一対一どころか、二対二の関係なんです。

それはなぜかというと。

人間は「100%客観的」に物事を見られない

わたし達は、現実を見る時に、必ず、自分のなかに、あるイメージを伴った状態で見ています。

どのような人・物・出来事でも、実は、その人・物・出来事そのままに、完全に客観的に見ることは、人間には不可能なのです。

なぜなら、外部から入った情報は、わたし達の脳にまず到達します。
そこで必ず脳を通して、今までの経験や知識に照らし合わせて判断され、物事が認識されます。

一人ひとり、今までに積み上げた経験や知識、記憶は、全く同じものではありません。
みんなそれぞれ違います。

つまり、わたし達は本当は、他の人と全く同じように物事を見ることさえ、出来ないんです。

例えば、同じリンゴを見ても、Aさんは「赤い」と思い、Bさんは「丸い」と思い、Cさんは「美味しそう」と思うように、林檎ひとつであっても、そこから受けるイメージはみんな違います。

こんなふうに、わたし達は自分なりのイメージと一緒に、すべからく現実の物事を見ているからです。

現実の物事に対して、「どういうイメージを持つか?」は、人それぞれ千差万別です。
正しいとか、間違っている、ということもありません。

林檎程度のことであれば、現実とあなたのイメージ上のギャップは大差ないかもしれません。

けれども、最初の例のように、

  1. 現実の彼氏
  2. あなたのなかにある、あなたのイメージとしての彼氏

は、多かれ少なかれ、かなりのギャップがあるはずです。
もしかしたら、同一人物とは思えないほどの隔たりがあるかもしれません。

同じことが、彼氏の側からも言えます。

現実のあなたと、彼氏のイメージ上のあなたは、ひょっとしたら全くの別人かもしれません。

二対二で恋愛しているようなもの

相手と親しい関係になればそれだけ、自分のなかの相手に対するイメージも多様になります。

言うなれば、あなたも彼もお互いに、実際には、現実の相手と、自分のイメージ上の相手、この二人と付き合っているようなものなんです。

よって人間関係が複雑になるのは当たり前、ですよね?

現実とイメージの間の、ギャップが小さければ小さいほど、人間関係はスムーズに進んでいきます。

ですので、「こんな人だと思わなかった!」ということは、あなたが抱いていたイメージ上の相手と、現実の相手が、実は相当違っていた、ということになるのです。

そこで相手を責めたり、ご自分の「認識が甘かった」と自責する前に、相手に対して、「そういうイメージを自分は抱いていたのだ」とちょっと立ち止まって考えてみると良いかもしれません。

すると必要以上に、自分の「見る目の無さ」で落ち込んだり、相手に対して怒ったり、イライラしたりすることが減ってくる場合もあります。

わたし達人間は、全てのものに対して、「自分」というフィルターを通してしか、物事を認識することが出来ないのですから。

人間にはいろいろな側面があります

さらに林檎と違って、人間にはいろいろな側面があります。

人は誰でも、あなた自身も、娘という役割、妻という役割、母という役割、社会人という役割、主婦という役割などなど、その時の状況や置かれた立場によって、それぞれ多面的な役割を持っています。

ですので、「〇〇さんはこういう人」と単純に断定することは出来ません。

例えば、Aさんという人がいます。

あなたにとって、Aさんは真面目な人です。
ところがBさんにとっては、Aさんは頑固な人に思われ、また別のCさんには、素直な人に思われる。

現実のAさんは同じAさんなんですが、人によって、Aさんの印象は違ってきます。

前述のとおり、相手を見る時に、わたし達は、それぞれ自分のなかのイメージと一緒に、相手を見て判断しているからです。

どういう場面で、どういう役割の時に「Aさん」という人を判断しているのか?

そこも考えてみる必要があります。

わたし達は、物事を完全に客観的に見る事ができないのと同様、物事の全ての側面を見ることは出来ません。

限られた「その場」で、自分が認識できる範囲のことしか分かりませんし、その限られた情報に基づいて判断することしか出来ないのです。

そのため当然のことながら、現実のAさんと、あなたのイメージ上のAさんとの間には、ギャップがあります。

なのでAさんのことを、「真面目な人だ」と思っていたのに、付き合っていくうちに、あまりそう思えなくなる、ということがあるのは自然なことなのです。

「真面目なAさん」というのは、あなたが、限られた状況の中で判断したイメージに基づくAさんだったのですから。

現実もイメージも絶えず変化していく

さらに、現実のわたし達も、誰かのイメージ上のわたし達も、どんどん変化していきます。

ある人を「冷たい人」だと思っていても、しばらく関係が続いていくなかで、「案外、温かい人だな」と思えることもありますよね。

相手が変化した場合もありますし、何かのキッカケがあって、それまで相手に対して抱いていたイメージが変化する場合もあります。

絶え間なく変化していくのが人間の心。

そのため、ある日突然、現実とイメージとの間に、急に大きなギャップが生まれることがあり、そこで急に人間関係が上手くいかなくなってしまうことも、決して珍しくはないのです。

究極のところ、相手の気持ちは分からない

ここまで、わたし達がお互いに、相手に対して、自分なりのイメージを持って、人間関係を営んでいること。
その、現実の本人とイメージの間のギャップが、人間関係をいっそう難しくしている、ということをお伝えしてきました。

ここから先は、人間関係を考えるうえで重要な「相手の気持ち」についてお伝えしたいと思います。

日本人は特に、「相手の気持ち」「周りの空気」を考えて行動するように、と小さい頃から教育されていることが多いかと思います。

そこで、自分の気持ちを自然な形で表現することなく、自分のなかに閉じ込めて、家族や周囲の人の「顔色」に合わせて行動することが、半ば当たり前になっている場合もあります。

ところが、ここでも、「わたし達のなかのイメージ」が存在するんです。

「相手の気持ち」も自分のフィルターを通して見ている

最初の例では

  1. 現実の「彼氏の気持ち」
  2. あなたのなかのにある、あなたのイメージとしての「彼氏の気持ち」
  3. 現実の「あなたの気持ち」
  4. 彼氏のなかにある、彼氏のイメージとしての「あなたの気持ち」

この4つが存在するわけです。

上述した通り、わたし達は、どんな事柄に対しても、「自分のイメージ」を加味して認識します。
当然、「相手の気持ち」「周囲の空気」についても、同じように、今までの自分の経験や記憶に基づいて認識するしかないのです。

そのため、虐待やいじめ、ハラスメントなど、かつて人間関係で深く傷ついた経験がある場合、その経験に基づいて判断するしかないのですから、どうしても「相手の気持ち」をネガティブな方向に捉えやすくなってしまいます。

「相手の身になって…?」

「相手の気持ちを考えなさい」
「相手が嫌がることをしないように」
「相手に迷惑をかけてはいけない」

小中学生時代、クラスメイトとの間でトラブルがあった時などに、両親または先生からこんなふうに言われ、「反省するように」厳しく叱責された方もいらっしゃるのではないかと思います。

かつて日本の教育では、実際にトラブルになった相手と直接、お互いの気持ちを話し合ったうえでトラブルを解決するのではなく、このようにお互いに「相手の気持ち」を自分のなかで考えて、今後のトラブルを起こさないようにする、というやり方が主流でした。

そして、ご自分だけが悪かったと、ずっと自分を責める気持ちを持ち続けていたり。
自分のせいでまたトラブルになるのが怖くて、人と気ままに関われなくなったり。
あれこれ考えても、結局何がいけなかったのか、分からないままで、何となく人間関係に苦手意識を持ってしまったり。

小さい頃のこうした経験が、今の人間関係の持ち方に影響している場合もあります。

例えば、子供時代にお友達を傷つけてしまった、と思い、10年、20年が経過した後でも、自分のしたことを後悔し、罪悪感を感じるという方もいらっしゃいます。
今でもどこか人間関係を避けてしまうようなところがある、と。

ところが、実際にはこの「相手の気持ち」というのは、あくまでも自分のなかで考えたことに過ぎないわけです。

つまり、あなたが想像していることであって、客観的な現実ではないのです。

相手が本当はどういう気持だったのか?
それは、その当時の相手自身にしか、分かりません。

上述した通り、林檎1個に対する考え方だって多種多様なのです。
だから、「相手の身になって」というのは、現実には不可能なんです。

(もちろん、エチケットやマナーといった一般的なレベルでの相手に対する配慮というのは大切です。それを否定するものではありません。)

傷を癒やす力を信じること

「相手がどう思っているか?」は、究極のところ、わたし達には、知る由もないことです。

しかも、わたし達は完璧ではないし、自分の行動の結果を正確に予測することは不可能です。

そのため「人を傷つけないように」と、心から望んでいるにも関わらず、結果として相手を傷つけてしまうことが、やはりどうしても起こってしまいます。
その逆もしかり、です。

どうすれば良かったのか?
考えても考えても、答えは出てきません。

そこで自分自身が傷つかないために、他の人を傷つけないために、相手との間に壁を作るしかない。
そうやってしか、自分を、他の人を守れない側面もあることは事実です。

けれども、わたし達は、生きていくために、何らかの人間関係から逃げることはできません。
わたし達は、お互いに、傷つけ合いながら、そしてその傷を乗り越えながら、生きていくしかないんです。

ただ、わたし達には、心にも身体にも、傷を癒やす力があります。
あなたが、かつて受けた傷を抱えながらも、今日まで生き延びてこられたように、相手にもまた、そういう自分自身を癒やす力があります。

人生で最も困難なことのひとつ

人間関係というのは、言ってしまえば、切ることができるものもあります。
「親子の縁を切る」ことだって不可能ではないですから。

それでもあなたが悩んでいるのは、「単純に切ることができない」とご自分でも分かっているからだと思います。

切っても切れない、切ることが難しい関係だからこそ、なるべく良い関係でありたい。

そういう関係を続けていくことは、人生で最も難しいことのうちのひとつだと思います。

単なる方法論では無意味ですし、やっぱり試行錯誤しながら自分の感覚を信じて、日々コツコツ相手との関係を築いていくしかないのです。

人間関係というのは、それほどの難事業です。

ご自身がそんなことに挑戦している。
そのことを忘れないでいてください。

これと関連して「相手に必要以上に気を使ってしまう」ことについて、いろいろ考えてきたことがあります。
が、字数の関係上、また別の記事にまとめたいと思います。

ABOUT ME
Chisako
臨床心理士・公認心理師・ヨガインストラクター。元社労士。 こころとからだのことで悩んでいるあなたに、わたしの今までの学びがお役に立つと嬉しいです。 根が不器用な自分を認めて、ただシンプルに生きるのが信条。
カウンセリングがうまくいかなかったあなたに。

あなたはご存知でしょうか?

不安、うつ、トラウマ、過緊張など、こころの症状を、身体を整えながら、身体の側から改善していくことができるということを。

「心の問題には対話によるカウンセリング」というのが一般的な常識ですし、
わたし自身、臨床心理士として、カウンセリングの効果も確かにあると認めています。

けれども、カウンセリングでは、うまく話すことができないと、なかなか先に進めない、ということも事実です。

いくら相手がカウンセラーだったとしても、そんなにすぐに打ち解けて、自分のありのままを話すことなんて難しいですよね。
信頼できるかどうかも分からないし、不安ですよね?

カウンセラーと信頼できる関係を築くまでには、本当に長い時間がかかります。
そのため、カウンセリングで変化を感じる前に、続けられなくなってしまう場合が多いのです。

「カウンセリングがうまくいかない」と困っている方がきっとたくさんいらっしゃるはず。本当はそういう方こそ、心のケアが必要なのに。

そこで、「無理に誰かに話さなくても、心の問題を解決していける方法があればいいな」と、わたしはずっと探していました。

そこで、たどり着いたのが、身体を整え、身体の感覚に向き合うことで、心を整え、心の問題を解決していこうとする方法でのカウンセリングだったのです。

これから自分らしく生きるために、こころ、からだをケアしたい。
でも、カウンセリングでは難しい。

そんなあなたにこそ、かぜのねのカウンセリングをお勧めします。
ぜひ、一度試してみてくださいませんか。

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