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AIとカウンセリングする?

AIにお任せ!

先日、生徒さんから
「カウンセリングのような、先生のお仕事はAIに代わられることは無いですよね?」と言われました。
一般的には、心理カウンセラーのような仕事は、AIにとって代わられることはないだろう、とされているようです。けれども、わたし個人としては、カウンセリングの内容や目的によっては、AIに相談するのも意外と「あり」なんじゃないかと思うのです。
というのは、例えば「不安症状を改善する10の方法を知りたい」というふうに、対処療法的なアドバイスが欲しいという場合です。
どんなに専門的な知識を持ったカウンセラーよりも、AIの方がそれはそれは膨大な知識を持っているわけです。そして、一瞬の絶え間なく知識を蓄積し続けています。
いわゆる「心理学の知見から」、AIはありとあらゆるデータや過去の事例や一般的な傾向を分析して、たいていの問題には的確な答えを返してくれるようになるのではないかと思います。
なので、いずれ将来的には「カウンセリングはAIにお任せ!」という世の中になるのかもしれませんね。

それでも消えない不安

その一方で、もっと根源的なもの、「生きるということ」「命ということ」について掘り下げていくようなカウンセリングは、やっぱりAIでは難しいのかなとも思います。
なぜならばAIは肉体を持っていません。
そのため死なないのです。
けれども、わたし達人間は必ず死にます。
そのため、「いつか自分も死ぬ」という不安を常に抱えています。
生まれてから実際に死ぬ時まで、この根本的な不安と言うものは決してなくなりません。
命ある限り、誰にでも必ず付きまといます。
どんなにAIが発達しても、滅びゆく肉体を持つ人間だけが持っている不安は、無くなることはないんです。
また、どんなに優れたカウンセリングを受けたとしても、残念ながら、「死への不安」というものは、無くなりません。
不安に対する根本的な解決策はありません。
結局、誰もが不安を抱えながら生きていくしかないんです。

不安の抱え方

ヨガインストラクターとか、臨床心理士とかをやっていると、どんな悩み事も自分で解決できて、不安なんか持たないようになるんじゃないか?
…というふうに思われる傾向があるみたいに感じることがあります。
少なくとも私自身には、悩み事もあれば不安もあります。
決して無くなることはありません。
ただ、不安というものは無くならないんですから、その「不安の抱え方」が大切だと思うんです。
どんなふうに不安と向き合っていくのか?
そこにその人らしさがあると思います。
不安の抱え方というのが、その人の生きる姿勢、生き方だと思うんです。

たいていは、仕事や趣味に没頭しながら、だましだましというか、不安と付かず離れず生きていくのではないでしょうか。
お子さんのいる方は、「命を繋いでいく」という実感を持つことで、不安が軽減される場合もあるでしょう。
不安を感じないように、とにかく不安を生じさせるものを遠ざけることで安心を得る方法も考えられます。
時には不安に真正面からぶつかっていく必要もあるかもしれない。
どのやり方が良いとか悪いとか、評価すべきものではないはずです。
その時々の状況に合わせて、不安の抱え方は違ってくるでしょうし、不安への考え方も変化するでしょう。
いろんな方法、いろんな考え方があっていいのだと思います。

人間って何?

心理学も科学の一分野ですから、いろんなデータや過去の傾向を分析して、私たちに共通する心の働きを解明しようとする学問です。
そのため、AIがどんどん台頭してくると、人間の心理状態というのもどんどん解明されていきます。
けれども、AIは肉体を持っていませんから、例えば落としたものを拾ってくれることさえしてくれません。
料理の作り方を教えてくれますが、料理そのものはしてくれません。
ここに、AIの限界があると思うのです。
AIは実際に不安を抱えたことがありませんから、「実感として不安を抱える」ということが、どういうことなのか分からないはずです。

実際にカウンセリングを受けたとしても不安はなくならないし、不安の抱え方もそうそう簡単に見つかるものではないかもしれません。
それでも同じく不安を抱えるもの同士、同じ時間と同じ場を共有して、実際に生身の人間同士が出会うことによってはじめて、そこでしか生じないプロセスが絶対にあるはずだと思うのです。
一見、とりとめのない話をしているようでも、お互いの心の中で必ず何かが絶えず生じている、つまり変化があるわけです。その過程を経ることが、より自分らしい不安の考え方を構築していくことにつながっていくに違いありません。
それが相手がAIではなく、生きている人間同士が出会うからこそ得られるものだと思うのです。

不安なまま生きていくことによって、人間にしかできない「生きていること」そのものが見えてくるんじゃないかと、私は考えています。
人間だからこそできることが明確になればなるほど、「私たち人間とは何か?」という謎がもっともっと解明できるはずです。

kazenone

kazenone

ヨガインストラクター・臨床心理士。 不器用な自分を認めて、ただシンプルに生きるのが信条。 ヨガの学びを通して、身体と心のつながりを実感する毎日。

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