より自分らしく健やかに。完全マイペースでヨガを学んでみませんか?

ヨガでケガをしないために知っておいてほしいこと、その2

この3回にわたる一連の記事で、ヨガで怪我をしないために、知っておいていただきたいことをお伝えします。
今日のテーマは、「ヨガは競争ではない」ということ。
このことは当たり前のようですが、実際のところ、知らず知らずのうちに、まるで競争しているかのようにポーズを取っていることが多いようです。

みんなと同じにやらなくてもいい!

伝統的には、ヨガはスポーツではありません。
が、一般的には、スポーツジムなどでレッスンが行われています。
そこでは、ほとんどグループクラスの形で、最低でも10〜20名程度が一緒に練習する場合が多いかと思います。
けれども、よくあるスポーツジムのスタジオでは、壁全体が鏡になっています。
クラス全体のなかで、自分の出来ない姿が鏡に映っている…

やっぱり、そういう環境ですと、
「みんなと同じようにやらなければならない、できない自分が恥ずかしい」
そんな気持ちになるのは当然のことですよね。

さらには一緒に参加した友達がいれば、「彼女より私の方が上手」「彼女は上手なのに私はダメ」とか。
必要のない優越感とか劣等感を持ってしまったり、周りのペースに合わせて早く上達しようと焦ったり。

以前、スポーツジムでヨガをやっていた時に、まるで競争するかのようにポーズの完成度を競う雰囲気があって、正直、私は驚きました。

繰り返しになりますが、ヨーガはスポーツではありませんから、当然、競争だってありません。
ポーズの形を取ることがヨガの目的ではないんです。
ポーズの見かけ上の美しさは、本来のヨガの醍醐味とは全く関係ないのです。

見かけの美しさに惑わされないように

ホットヨガの広告などで、モデルさんがポーズを取っている写真をよく見かけます。
確かにそれは美しく見えます。

けれども、そのモデルさんは、果たして「実際にヨガをやっている」のでしょうか?
外側から見た時に、ポーズがどれほど美しくて完成されていたとしても、モデルさんご自身が、今の自分の状態を内観していないのであれば、「ヨガをやっている」とは言えないのです。ただ「ポーズを取っているだけ」です。
「ポーズを取っているだけ」の状態ではなく、自分のからだの内側に意識を向けていること。
そして、自分の内面を見つめていること。
それがないと、「ヨガをやっている」のではありません。


ヨガのポーズを取るだけだったら、モデルさんのように手足が長い方や、ダンサーさんのように柔軟性が高い方は確かに有利です。
そういう方は、特別に練習しなくても、複雑なポーズが出来たりします。

でも、先ほどもお伝えしたとおり。
形を取ることが大切なのではなくて、自分の身体の内面に意識を向けることがヨガです。
生まれつきの体型や柔軟性で形を取っただけでは、ヨーガをやったことになりません。
逆を言えば、病気や事故、加齢、生まれつきの骨格のために、身体を動かせる範囲が限定されていて、複雑なポーズを取れなくても、ヨガはちゃんと出来るのです。

指1本しか動かせなくても、ヨガは出来る!

わずか指1本しか動かせなかったとしても、その動かせる範囲で、自分の内面に向き合い、動く指の感覚一つ一つを確かめながら、丁寧に指を動かすことをしていれば、それは正にヨガなんです。
外から見た限りで、身体の形が全く変化していなくて、全くポーズが取れなかったように見えたとしても、ご自分の内面で、ご自分の感覚に集中して観察することが出来れば十分。

からだが硬くて形は取れなかったとしても、自分のからだのなかに、最大限意識を向けてポーズを行えば、結果としてどんな形になったにせよ、それがまさにヨーガなんです。

誰でもみんな、身体は一人ひとり違います。
骨格や体形、関節の柔軟性、筋肉の付き方は全て人それぞれ。なので、誰かと全く同じ形のポーズを取ることはできません。
誰かと競争するものではなく、そもそも他の人と比べるのは、全く意味のないことです。

呼吸はバロメーター

ヨガではご自分に意識を向けることが何より大切だとお伝えしてきました。
とはいえ、「自分に意識を向ける」と言われても、漠然として、分かりづらいですね。
そこで、具体的に何に意識を向ければいいのか、というと。
それが呼吸なんです。

ポーズの途中で、ゆったりした呼吸ができなくなったら、それは「無理し始めているよ」という、身体からのサイン。
特に慣れないうちは、つい、焦ったり、頑張ろうとしてしまい、呼吸を止めてまでポーズを取ってしまうことがよくあります。
ヨガでは決して呼吸を止めてはいけません。
呼吸が止まってしまうほどのポーズであれば、今の自分にとってはやり過ぎなのです。
呼吸が止まってしまったり、ご自分の呼吸に意識が向けられなければ、それは苦しいだけで、ヨガではなくなってしまいます。

もちろん、時にはチャレンジのために、あえて負荷をかけてポーズを行うこともありますが、その場合であっても、呼吸を意識できる範囲で行うのが基本です。
ヨガをやる時には、常にご自分の呼吸の様子を観察し続けるように心掛けてください。


ヨガでケガをしないために、心構えとして知っておいていただきたいことをここまでご紹介してきました。

少なくとも、他の人と比べたり、競争することはしないで、自分のからだ、そして呼吸を意識する、つまり「自分と向き合う」というヨガの本来の目的を忘れないでやってみてください。
そうすれば、難易度の高い練習をしていても、決してケガをすることなく、安全にヨガを学ぶことができます。

ヨガのレッスン中に、他のみんながやっていても、自分には無理だと思ったら、どうぞ勇気を出してやるのを止めてください。
あなた自身を怪我から守るために。

たとえレッスンについていけなくても、今の自分ができることを、自身の内面の感覚に向かおうとする気持ちを込めてやれば、それはもう立派なヨガになります。
外見上満足にポーズができなかったとしても、ヨガの目的は達成されたと言えるのですから。

kazenone

kazenone

ヨガインストラクター・臨床心理士。 不器用な自分を認めて、ただシンプルに生きるのが信条。 ヨガの学びを通して、身体と心のつながりを実感する毎日。

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