この3回にわたる一連の記事で、ヨガで怪我をしないために、知っておいていただきたいことをお伝えしてきました。
一応、これで最後ですが、やはりヨガを安心して学び続けていくために必要なことは、まだまだいろいろありますので、今後もこちらのブログに追々アップしていきます。
今日のテーマは、「結果を急がないこと」。
本来、ヨガはダイエットのためのものではない
ダイエットやボディメイクのためにヨガを始めるという方も多いものです。
ホットヨガスタジオでは特に「痩せる」ためのクラスがあったりします。
パワーヨガのように、短期間で効率よく体型を変化させる目的で考案されたヨガの流派もあります。
また、Youtube等では、「肩コリ改善に良い」ポーズが動画で紹介されていたりもします。
こちらで再三お伝えしているように、本来、ヨガのポーズには、単にダイエットや肩コリ改善のために考案されたものは、実はありません。
ヨガは本来、「自分の内面に向かっていく行い」です。
とはいえ、「内面」という漠然とした対象を見つめるのは至難の業。
そこで、自分の身体、つまり、呼吸や筋肉、関節の動きを丁寧に見つめ、そこで感じられる感覚に集中することを、手始めにやってみよう!として始められたのが、現代の私たちが学んでいるヨガの原型です。
ただ、決してヨガが肩コリ等々に効果がないか、というと、決してそんなことはありません。
ヨガ本来の目的とは異なりますが、ヨガは、身体の状態を改善するために非常に効果的です。
ヨガは自分の内面に向かっていくもの。
そして、肉体という目に見える物質から、徐々に目に見えないものにも目を向けられるように練習していくものです。
そこで、ヨガを学ぶ時には、最初は立位のアーサナで、大まかな筋肉の動きを観察することから始めます。
それから段階を経て、より微細な筋肉の部分まで感じ取れるように、練習を深めていきます。
そうした微細な身体の部分を感じるには、日常生活ではほとんど動かさないような部位の筋肉を使ったり、普段はやらない動きをやってみたりします。
例えば、肩関節も、肩内部の深い部分まで意識して、丁寧に筋肉を使っていきます。
すると、自然に肩の調子が良くなって肩コリも改善されていく、ということなのです。
決して肩コリ改善が目的ではなく、最終的に自分の内面に向かうことが目的で、その過程で身体の調子を整えることができる、というわけなんです。
ヨガには即効性は無い
ヨガには残念ながら、すぐに痩せて体形が変わるといったほどの即効性はありません。
とりわけ、ダイエット目的でヨガを始めた場合、「パワーヨガ=痩せる」と考えてしまい、運動量が多くて流れるようにポーズを取るクラスを選んでやってみるのは自然なことです。
特にビンヤサというポーズを次から次へと取っていくクラスでは、「動いた!」という充実感が得られて、確かにスッキリしますね。
ただ、「身体を激しく動かせば早く痩せられる」と考えてしまうことは危険です。
ずっとお伝えしていることですが、ヨガは美容のためのエクササイズではありませんから、運動量が多いヨガの方が効果的だということは全くありません。
運動量が多いヨガは、生理中などその時の体調によっては、身体に必要以上の負荷をかけてしまうおそれがあります。
早く結果を出したいからと、頑張り過ぎると、かえって身体を痛めてしまうことにつながります。
一説によると、ヨガには数千年もの歴史があるとされます。
そのなかで、数え切れないほどの人々がヨガを実践し、本当に役に立つものだけが今日まで伝えられてきました。
ですので、ヨガはちゃんとやれば、結果は必ず付いてきます。
すぐに痩せることはありませんが、コツコツやれば、身体の変化を感じられる日がやって来ます。
ヨガは目に見えない世界へと導くもの
また、「あまりヨガの効果が感じられないのは、難しいポーズができないせいだ」と考えている方もいらっしゃるようです。
例えば、ヨガをやるならば、床にベターっと開脚しないといけない、とか。
こちらも誤解で、決してそんなことはありません。
一般的には、結果が目に見えて分かる「ポーズとしての形」を作ることがヨガだと受け取られています。
しかし、本来のヨガとは、目に見える世界を超えて、目に見えない世界にも感覚を広げていこうとする試みです。
体型の変化など、目に見えることだけで終わるのではありません。
もっと目に見えないような、微細な部分の筋肉の動き、呼吸の質感、身体の内部で感じるエネルギー。
そんなものに向かって意識を向けていくことがヨガなんです。
ですので、目に見えることだけがヨガの結果ではありません。
呼吸が深くなったり、血液や体液の循環が良くなったり、より身体の深い部分へ気付きが生まれたり。
ヨガは決してインスタントで手軽な方法ではないけれど、本当に内面から人を変化させる力があるものです。
ヨガでの基本的な身体の使い方を知らないまま、無理をして難易度の高いポーズをやってしまうと、ケガをすることにもつながります。
難易度が高いポーズを取らなくても、ヨガは十分に効果を発揮します。
始めのうちは特に、基本的なポーズを繰り返し繰り返し練習されることをお勧めします。
急がば回れ
「急がば回れ」というのは、ヨガの練習においても真実なんです。
身体や心の状態を変化させるためには、どうしても、ある程度時間はかかってしまいます。
焦って結果を求めすぎてしまうと、思わぬ怪我をしたりして、結局それが遠回りになります。
また、ヨガでは集中することが、とにかく大切なので、「長時間やればいい」というものではありません。
疲れてくると、どうしても注意力が散漫になり、そこでもまたケガをしやすくなります。
オンラインやYoutube動画で、自宅にいながらにして、時間制限なくヨガを学べる状況では、やり過ぎに注意が必要です。
ヨガは短時間でも、丁寧に集中してやった方が、はるかに効果があります。
結果を急がずに、ポーズができても、できなくても、自分の身体に意識を向けて、自分の意思で身体を動かしていくことに集中していれば、ヨガでケガをすることなんてあり得ません。
あくまでも、ヨガ本来の目的は、自分の身体のなかの微細な感覚まで内観していくこと。
そのことを忘れないで、でも必要以上に怪我を怖がらないで、ゆっくり、じっくり取り組んでみることをお勧めします。
3回にわたって、ヨガで怪我をしないために知っておいていただきたいことをお伝えしてきました。
これからも、私が今までヨガから得た学びをこちらでシェアしていきたいです。
どうか、ヨガが与えてくれる喜びを、たくさん味わっていただけますように。